お待ちしております。

もうどれくらいの人数の患者さんを診てきただろう?そんなもの数えたって意味が無いことなのだが・・・。なかには「これだけの人数を診て来たんだ!」なんて自慢をする先生もいらっしゃるようだが、思わず「それが?」と言いたくなるのが私の悪い癖のようだ(笑)。

一人一人と如何に真剣に向き合い、最善の技術を選択し、それを発揮できるか。私はこれが最も大事だと思うんですよ。そのために常に己を磨き研ぎ澄ませて待つ。それを世間では「段取り」というのだろう。仕事は段取りで決まる!これは間違いないことだと現場で思う。

先日、久しぶりに「もの凄く難しい患者さん」がお見えになった。静止状態で検査しても、動かして検査しても、もの凄く色んなものが見えて私は迷った。こんなに色んなものが一度に見える患者さんは本当に稀だった。胃も具合悪そうだし血圧が低い。泌尿器にも問題がありそうで不整脈も持っている。そしてアレルギー反応が顕著で交通事故によるムチウチも残ったままだった。気がつけば検査だけで時間が相当過ぎてしまった。滅多にそんな私の姿を見たことが無いスタッフの織田も心配そうにその様子を伺ってた(笑)。

何度か色んな検査をした結果から、とりあえず左右に回旋できない首を優先し動けるようにすることを選択した。その結果直ぐに首は回旋できるようになった。

しかし、私には気がかりなことがあった。

「本当に悪いものは隠れる」という人間の特性だ。

例えば、胃がんでお腹が痛い。でも昨日から風邪を引いてる。その場合、どちらの症状がきつく出るかというと、風邪の症状なんです。咳が出る、鼻水、クシャミ、発熱。胃がんという大きな病を持っているが、その症状は一時的に奥に隠れ、今たちまちかかってる風邪の症状のほうが表に出てくるんです。もちろん、これは胃がんと風邪という2種類が同時に起こってる場合ですが、もっと複数のことが起こった場合には優先順位をつけたかのように次々と色んなものは隠れ、たちまちのものが表に顔を出すんです。だから病気って診断が難しいんです。

話しは戻り、その患者さんは首はその場で回ったものの次は後ろへ倒れないので来院されました。そうです、表に見えていたものを取ったら次に隠れていたものが出てきたんですね。それも予想してたので次は完全に交通事故で残っていたムチウチを取りました。すると次は腰が痛くなったんです。これも予想してた通りです。長年のムチウチの存在で腰が引っ張られてたんですね。そのムチウチを完全に戻したことによって腰も正しい方向へ戻ろうとしてたんです。ただ自分の力だけではなかなか戻れないというジレンマになってたようです。だから腰を正しい方向へちょっと戻したとたん全てがクリアになりました。結局4~5回の治療で完治しました。

しかしその患者さんを診て思ったのは「10人分」診たのに匹敵するくらい疲れた」でした(笑)。その患者さんを診た後は半日くらいしんどい(笑)。それだけ頭をフル回転させて集中してたってことだと思います。だからと言って、他の患者さんを適当にやってるという意味ではありませんよ。一人一人に全力で立ち向かってます。私の健康をすり減らしながら患者さんを診るのは当然のことだと思ってますから。ただ私の持っている知識やテクニックをフルに活用しなければ対応できない患者さんっているんです。その疲れといったら半端ない!せいぜい一日3人が限界?って思いましたもん(笑)。それくらい難しい患者さんだったんです、今は笑えますけど。でも良かった良かった!笑顔で次に来てくれるのが一番嬉しい!そのために私はここに居るのですから!どんな痛みや苦しみも解放してあげたい。そのために私は準備してお待ちしております。