本当は結果が出るまでそっとしておこうと思ってました。でも患者さんからも聞かれたりしますので公にしますが、やっとスタッフ織田の国家試験が終わりました。長かった戦いでしたが目標を見失わず最後までやり遂げました。
もちろん国家資格を取ることが目的の学校なので「合格」の二文字が欲しいところではありますが、それ以上に医学の基礎を学んだことのほうが私は大きいと思います。それらの知識を活かせるのは臨床の現場。きっとこの資格を取得しいい先生になってくれると期待してます。
社会に出ると勉強したくても誰も教えてくれません。これはどんな世界でも同じなんですが、社会に出てしまうと自分しかありません。ましてや今のようにパソコンや携帯が普及してなかった四半世紀前には紙という媒体しか情報を得る手段がありませんでした。そうなりますと「本」だけが唯一の情報源となるわけです。ところが、医学の世界は広いようで狭いんです。「本音」などを書こうものなら次に日から同じ事を真似され謳われます。筆者からすれば本音を書くことを敬遠するのは当然ですが、それでも本音を伝えようとする新聞がありました。
「科学新聞社」という手技療法誌を扱う出版社が年二回発行する「カイロジャーナル」という新聞です。この新聞には日本で今現在行われている「手技療法」のほとんどが記載されていました。
中でも連載コーナーで「手の検査法」を研究し伝道してきた中川貴雄DC(ドクターオブカイロプラクター:米国の手技療法の医者)という先生が私は大好きでした。著書は全て読ませて頂きましたが、私たちの世界では「バイブル」と呼ばれるような「検査法」を日本に紹介した第一人者なんです。
実はこの中川先生の一番弟子である仲井DCという先生に私は検査法やテクニックを教わりました。残念ながら私は一度も中川先生とはお逢いしたことがありません。でも、一番弟子である仲井先生から色々とお聞きし、中川先生の言わんとすることはだいたい分っていました。それを裏付けるような内容が、この「カイロジャーナル」という新聞には載っていたんです。ですから半年に一回届くこの新聞をワクワクしながら読んでいました。
そんな私にとって大切な新聞が今号をもって休刊になってしまいました。嘘のような話しですが、この新聞「無料」だったんです。科学新聞社から出版されてる医学書を一度買うか、私の協会の会員になると無料で送って貰えるシステムだったんですね。25年も甘えてしまいました。今の時代は地道にコツコツ努力するより「いかに楽して最短で検索できるか?」のほうへ若者たちは流れるようです。ですので休刊へと追いやられたようです。でも、いつかきっと地道にコツコツと努力した者が笑えるときが来る!それまでの休刊だそうです。そしてこの新聞が最後になることへの諸先生方からの励ましの言葉が今回は寄稿されていました。
中でも、私が尊敬する中川先生の言葉が、私が過去このHPに書いた内容とそっくりでしたので今回記載しておきます。この言葉を私の元で働いてくれた弟子たちやスタッフに贈りたいと思います。
以下、科学新聞社の最後のカイロジャーナルより、「中川貴雄の臨床ノート」より抜粋。
「カイロジャーナル最終号です。ジャーナル第一号から休み無く書かせていただきました。私のカイロプラクティックは、このカイロジャーナルとともにあったと言っても過言ではありません。ジャーナルに書かせていただくことによって、私はカイロについて、モーション・パルペーションについて、検査について、また治療について、本当に多くのことを深く勉強させていただきました。
書くためには、知っている知識を述べればいいだけではありません。知っていることをさらに深く学び、知らないことを新しく学び、また自分の足りなさを再認識することです。1行の文章を書くだけに何時間もかかったり、1つのことを調べるのに何本、何十本の文献を確かめたり、何度書き直しても文章がうまく続かなかったり、締め切りが近づいても全く終わりそうもなく、焦ったりの連続です。
~(中略)~
治療法を好きになることは、高い山に登るのと同じです。
登っている時は苦しくて大変ですが、登頂後の爽快感、達成感は言い表すことのできないほど素晴らしいものです。目標としている治療法を体得したときの達成感も言い表せないほど素晴らしいものなのです。達成すると、また変化が起こります。目標の治療法以上の治療法をめざそうと考えるようになってきます。登山家がより高い山をめざすのと同じなのです。これを繰り返し続けることによって大好きな自分だけの治療法(only oneの治療法)ができあがることになります。皆さんも自分だけの(only one)をめざして頑張ってください。長い間、ありがとうございました。 中川貴雄」
東京のセミナーへ向かう列車の中で、富士山を見るたびに「俺って今どの辺りを登ってるんだろう?まだ樹海を抜けて裾のほうなんだろうな~」って思ってました。それが地道に新しいセミナーを受けるたびに「やっと5合目かな~?」って思えるようになりました。
この春から新しい出発の方々もいらっしゃるでしょう。時には苦しい壁も立ちはだかります。でも諦めず一歩でも前へ進んでいれば、きっと山頂は見えてきます。自分を信じ、一歩でも前へ。